この画像に掲載されているテキストは、中国の伝統的な命理学である四柱推命(子平、八字)の古典的な論説です。
内容は、個人の運勢を読み解くための基本的な理論を説いています。
陰陽五行の基本について、 冒頭の「人稟天地、命屬陰陽...(人は天地の気を受け、命は陰陽に属す)」という部分は、人間は五行(木火土金水)の間に存在しており、貴賤を知るにはまず月令(生まれた月の気)を確認すべきであると述べています 。
格局と用神について、 四柱(年・月・日・時)の組み合わせから「格局」を定め、運勢のバランスを整える「用神」を見極めることの重要性が書かれています 。
星の吉凶について、 「官星」(社会的な地位や仕事)、「財星」(富)、「七殺」などの通変星が、命式の中でどのように作用するか、またそれらが刑・冲(星同士の衝突)によって受ける影響の解説をしています
具体的な例について、 「癸日坐向巳宮(癸の日に生まれて巳の場所にある)」など、特定の日干や配置による運勢の吉凶についての記述です。
『子平淵源』(しへいえんげん)は、四柱推命(子平)の歴史において最も重要な古典の一つである『淵源』(正式名称『子平三命通変淵源』)を指します。
宋代の徐大升(徐子平の説を継承した人物)によって編纂されたと伝えられており、現代の四柱推命の基礎となる「日干(自分自身)」を中心とした看法のルーツとなっています。
この書物に関する主なポイントは以下の通りです。
1. 歴史的な位置づけ
子平のルーツ、 唐代までの「年柱(生まれた年)」を重視する手法から、宋代に確立された「日干(生まれた日の天干)」を主体とする手法(子平術)へ移行した時期の理論がまとめられています
古典三書、 『三命通会』『淵海子平』と並び、四柱推命を学ぶ上で避けては通れない最重要文献の一つです。
2. 内容の特徴
理論の集大成、 十干十二支の性質、通変星(六親)、格局、用神といった、現代でも使われている基本的なロジックの源流が記されています。
詩賦形式: 理論が覚えやすいよう、短い詩や賦の形式でまとめられている箇所が多いのも特徴です。
右下、西洋占星術、星座名の記述があることから、その影響がありますね。
中国・唐代には既にギリシャ式占星術の翻訳書が存在しているという事実、最初、「聿斯経(いつしきょう)」と呼ばれたギリシャ式占星術は、やがて中国式の見方も加わり「七政四余(しちせいしよ)」と呼ばれるように変りました。
そして、疑似占星術ともいえる「太乙神数(たいいつしんすう)」、「紫微斗数(しびとすう)」、「星平会海(せいへいかいかい)」といった占術を次々と誕生させていきました。
紫微斗数による出生図には、「12星座」に当たる「12支」があり、「12ハウス」に当たる「12宮」があり、「主要7惑星(七政四余の「七政」)」に当たる「紫微14星(北斗7星&南斗7星)」があり、「副次的4星(七政四余の「四余」)」に当たる「副星4星」があり、「アスペクト」に当たる「同宮(0度)・対応宮(180度)・三合宮(120度)」などの見方があり、「トランジット星」に当たる「流年星」の見方があり、実星(実際に存在する惑星)と虚星(実際には存在しないか虚構の星)の違いはあっても、占い方の基本はほぼ同一であるといえます。
しかし、四柱推命という占術は、これらの占術要素とは明らかに異なり、12星座も、12ハウスも、古代の7惑星も登場しません。
簡素な四柱八字と、それらに付随した「10の虚星」のみです。
「奇問遁甲」という占術で推命学的な判断を下す「奇問命理」では、「12宮」ではないのですが「10宮」を表出します。
この「10宮」には面白い特徴があって、その表出法は四柱推命的、その解釈法は紫微斗数的です。
四柱推命に西洋占星術の影を見るのは、そういうようなことではありません。
もっと生な形で、共通している判断技法があります。
その四柱推命の成立過程の中で、採用されてきたモノの一つに「神殺(しんさつ)」と呼ばれる星達があります。
中国における四柱(子平)推命という占術は、下記に示したような研究者や編纂された書籍を経て、確立されていったと考えられます。
古代ギリシャの天文学者でもあったプトレマイオス著『テトラビブロス(四部書=ラテン語)』
中国における「四柱(子平)推命」の原初段階をまとめた李虚中著『命書』
中国における「テトラビブロス」の翻訳書である可能性が強い唐代『(都利)聿斯四門経』
単なる翻訳書からは脱皮しようとしていたらしい張果老著『果老星宗』
翻訳書ではあったが後の「子平原理」の基となった徐子平著『徐氏続聿斯歌』
中国独自の北斗七星に由来する占星術を体系化させた陳希夷著『紫微斗数全書』
「命書」を基礎とし中国色を前面に押し出した徐子平著『三命消息賦』
「果老星宗」と「紫微斗数」を合体させようとした鄭希誠著『星命溯源』
「果老星宗」と「紫微斗数」と「子平」の三つを合体させた水中龍著『星平会海』
あらゆる中国系の占星術と推命術を総括的に述べた萬民英著『星学大成』
「紫微斗数」「星平会海」「四柱推命」に共通した「神殺」をまとめてみます。
神殺 表出方法 具体的な意味と作用
感池(かんち) (三合の原理から表出) 酒食に溺れる。男女関係でトラブルを生じやすい。
駅馬(えきば) (三合の原理から表出) 移動・旅行運が強い。生地を遠く離れて成功する。
華蓋(かがい) (三合の原理から表出) 名誉運を持っている。複雑な家庭環境に縁がある。
文昌(もんしょう) (干から支を見て表出) 学術方面で伸びる。試験運が良い。才能発揮の相。
貴人(きじん) (干から支を見て表出) 目上からの引き立て運がある。良い師に恵まれる。
羊刃(ようじん) (干から支を見て表出) 突発事故や怪我に注意。激しい性質の持ち主となる。
天空(てんくう) (支から支を見て表出) 心の空虚さが付いて回る。精神的に満たされない。
禄存(ろくぞん) (干から支を見て表出) 金運・財運に恵まれる。職務上の役得にあずかる。
天耗(てんもう) (支から支を見て表出) 不意の出費・散財が多い。労働や苦労が役立たない。
孤辰(こしん) (三合の原理から表出) 親・兄弟などの縁が薄い。対人面では孤立しやすい。
寡宿(かしゅく) (三合の原理から表出) 結婚で幸福を掴めない。配偶者に先立たれやすい。⋯などなど。
また、推命学研究は、異説が多いが、その中でも多くの異説にあふれているのが「蔵干」と呼ばれているものです。
推命をするのに「三元」が必要であり、「三元」或いは「三才」と呼ばれるものが備わらなければ、“運命が形を成すことはない”という捉え方なのです。
個々の運命を推し量るために、「人元」となってくれるものを「支蔵干」に求めたのです。
それでは、この「人元」(月支元命)である命式上の「蔵干」は、どのような意図のもとに表出されているのでしょうか。
古典原書の「月律分野表」に基づく蔵干
『玉井奥訣』による蔵干表
『淵海子平』による蔵干表
『三命通會』による蔵干表
「古歌」に基づく蔵干表
「節気蔵干」説に基づく蔵干表
「特異な蔵干」説に基づく蔵干表、などがあります。
「十二支五行」は、十干と異なり『専一』ではない”という点が、蔵干を複雑なものとしているのです。
そして、その“遠因”としてあるのは、古代エジプトの『デカン思想』です。
なお、四柱推命の原理も時代によって変遷しています。
中国・唐代(西暦705~907年)に出現した「李虚中の推命学」=『命書』、
中国・宋代(西暦960~1279年)に出現した「徐子平の推命学」=『淵海子平』、
中国・明代(西暦1368~1661年)に出現した「劉伯温(りゅうはくおん)の推命学」=『滴天髄(てきてんずい)』、同じ明代の「雷鳴夏(らいめいか)の推命学」=『子平管見(しへいかんけん)』、同じ明代の「萬民英(まんみんえい)の推命学」=『三命通會(さんめいつうかい)』、
中国・清代(西暦1661~1911年)に出現した「陳素庵(ちんそあん)の推命学」=『命理約言』、同じ清代の「沈孝瞻(ちんこうせん)の推命学」=『子平真詮(しへいしんせん)』などが主だった推命学原書として知られています。
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